Opteon™（オプテオン™）冷媒が世界を変える方法

MW Presents（Municipal Worldプレゼンツ）：今回のMW Presentsは、Chemours（ケマーズ）カナダの協賛によるスペシャルエピソードです。本日のゲストは、Chemours（ケマーズ）カナダのサーマル＆スペシャライズド ソリューションズ事業でテクニカルサポートおよび開発リーダーを務めるTim McRae氏と、NHLの公式リンクエンジニアリングコンサルタントであるIB Storey Incorporatedの社長で、レクリエーション・産業・商業分野の冷凍冷蔵機器システムに20年以上携わってきたIan Storey氏です。

本日は、持続可能なスケートリンクシステムを実現しようとする際に考慮すべき点について、リンクのオーナー、運営者、自治体のベストプラクティスを伺います。Tim、Ian、
ようこそお越しくださいました。スケートリンク業界では持続可能性にどう対応しているのか、少し詳しく教えていただけますか。

Tim McRae：スケートリンク業界で持続可能性への関心が高まっているのは間違いありません。たとえば、NHLは「Green Rinks Initiative（グリーンリンクイニシアチブ）」というプログラムを開始しました。プログラムの目的は、経済的にも環境的にも持続可能な、業界のベストプラクティスについての情報を伝えることです。業界には、より全体的な視点でスケートリンクの持続可能性について考えようという動きがあります。つまり、安全性、コスト、環境といった全体に目を向けようということです。また、ここ数年、アンモニアを使用したスケートリンクについて取り上げられることが多かったため、持続可能性の中でも、特に安全性に注目が集まっています。Safety BCが新しい要求事項を発表したのはその一例です。ですから、持続可能性を重視した結果、アンモニアからの脱却が進んでいるといえます。

MW Presents：大変興味深いです。持続可能なリンクソリューションとはどのようなものでしょうか。

Ian Storey：環境的要因と経済的要因のバランスが取れているのが、持続可能なリンクソリューションです。どちらかを優先すべきということではなく、両方を考慮することで、得られるメリットもプラスの影響も最大になります。当たり前ですが、どのような活動にも安全性は欠かせません。地域社会の中に組み込まれた公共の場であるスケートリンクのような場所では特にそうです。ただ、持続可能性の3つの柱は一体として評価する必要があり、その評価の結果で今後の施設にとって最良の選択肢がわかってくるでしょう。

MW Presents：冷媒の選択肢について、考慮しなくてはならない要素がきっとたくさんあると思いますが、現在の冷媒業界はどうなっていますか。

Tim McRae：その点については私がお答えできると思います。ご存知の通り、北米のリンクの多くは寿命を迎えているか、それに近い状態にあります。私たちが見たところ、そうしたリンクのソリューションを牽引しつつあるのが、Opteon™（オプテオン™）シリーズの冷媒です。個人経営のリンク、自治体が所有するリンク、NHLの施設など、多くのリンクオーナーが、スケートリンクをOpteon™（オプテオン™）冷媒を使用したものに置き換えています。実際、NHLが最近実施したリンクのアップグレードはすべてOpteon™（オプテオン™）冷媒を使用したスケートリンクへの移行で、たとえばコロラドアバランチやサンノゼシャークスがそうです。さらに多くの移行も進行中です。Freon™（フレオン™）を使った寿命間近の古いスケートリンクだけでなく、アンモニアを使ったスケートリンクも、Opteon™（オプテオン™）による新しいリンク設備に置き換わりつつあります。こうした中、新しいオーナーは安全性、経済的影響、規制などを全体的に考慮しています。

Opteon™（オプテオン™）冷媒は特性のバランスが優れており、現在もこれからもオーナーのニーズに応えていくでしょう。スケートリンクで使われているOpteon™（オプテオン™）冷媒は、毒性が低く、不燃性で、低圧で使用でき、環境への影響が少ないのです。エネルギー効率にも優れているため、こうした特性を活かして、アンモニアやCO2では応用できないような新しいエネルギー効率化技術も実現しています。システムがシンプルで、サービス技術者に馴染みのあるものであるため、メンテナンスコストを抑えられます。つまり、システムを整備できるサービス会社の数が増え、また多くの場合、機器はコンプレッサーのオーバーホールのようなコストのかかる保守作業を必要としません。サービス業者の選択肢が増え、選択肢が増えることにより、コストが下がるともいえます。コストの観点からいって、資本と全体的な運用コストを最も抑えられるのが、Opteon™（オプテオン™）を使ったスケートリンクです。Opteon™（オプテオン™）冷媒は、新しい設備にも既存のスケートリンクを交換する際にも、最適な選択肢です。

MW Presents：CO2やアンモニアなどの自然冷媒が話題になっています。自然冷媒にはどのようなデメリットがあるのですか。自然なもののほうが良い気がしますが、必ずしもそうとは限らないのですよね。

Tim McRae：Ian、この点についても私がお話しできるでしょう。そうした自然冷媒は「天然のもの」と呼ばれますが、実際のところは工業化学品です。初期の冷媒に使われていましたが、工業化学品であり、化学工場で製造されています。たとえば、アンモニアの製造です。アンモニアはどうやって作られるのでしょうか。アンモニアの製造は天然ガスのフラッキング（水圧破砕による開発）や石炭の採掘から始まりますが、その作業自体も大量のエネルギーを消費し、温室効果ガスを大量に排出します。ですから、「天然」という言葉に惑わされないようにしたいものです。

MW Presents：そうですね。呼び方に少々語弊がありますね。

Tim McRae：そうなんです。少々語弊があります。アンモニアとCO2のデメリットについても言及されていましたね。デメリットは確かにあります。一番重要なのはもちろん、安全性です。

私たちはまず、安全性について考えます。つまり、安全面でかなりのリスクがあるのです。ご存知のようにアンモニアは有毒で、充填量の少ないアンモニアシステムからの漏れであっても、特に機械室にいる技術者にとっては非常に危険です。一方で、CO2は1,000 PSIを超える非常に高い圧力で使用されます。1,000 PSIを超える装置が故障するとどのような事態が発生するでしょうか。コスト面でのもうひとつのデメリットとして私たちが注目するのは、資本コストです。CO2システムは導入コストが非常に高いのです。次に、「天然のもの」とされるCO2とアンモニアのもうひとつのデメリットであるメンテナンスについて説明します。これらの機器は非常に特殊です。機器を修理できるエンジニアや技術者の数は非常に限られています。

また、アンモニアやCO2のシステムでは、設計上、コストのかかるコンプレッサーのリビルドが必要になる頻度が高いことがわかっています。また、アンモニアの安全性の問題については、多くの自治体がシステムの稼働中に技術者の立ち会いを求めるようになっています。これはコスト面で間違いなくデメリットになりますし、アンモニアの安全性を確保するには、さらに労力と時間を費やす必要があります。つまり、デメリットについて考えると、「天然のもの」だからといって、それがベストな選択肢になるとは限りません。多くのリンクオーナーは、Opteon™（オプテオン™）を使ったスケートリンクを全体的に検討して、「天然」とされるものよりも、Opteon™（オプテオン™）を選んだほうが良いと判断しています。

MW Presents：考慮すべきポイントをたくさん教えていただきましたが、候補となる製品もたくさんあります。そこで、冷媒の選択肢を検討する際におすすめの評価方法はありますか。

Ian Storey：私はほとんどの時間をクライアントと過ごしているので、よくその質問を投げかけられます。そうですね、どのような評価でもそうだと思いますが、十分な情報に基づいて判断するかどうかで、その後の満足と後悔が決まります。つまるところ、「実質ゼロ」のような専門用語が文脈を無視して多用されることによって、業界には多くの混乱が生じています。今必要なのは、印象的な意思決定の言葉ではなく、適正な評価を行うことだといえます。Timが述べたように、全体的な影響を検討し、安全性を優先し、財政責任と環境スチュワードシップのバランスを取るというプロセスです。最終的に重要なのは、それぞれのリンク内外で環境への影響を減らすことであって、それを達成できると信じ込むだけではだめです。

MW Presents：なるほど、わかりました。お二人は、この分野でたくさんの人を知っていて、常にそうしたシステムを見ています。持続可能なリンクの冷凍冷蔵機器システムを検討する際に、一番良い始め方をしていたのはどのようなオーナーですか。何から始めればいいでしょうか。

Ian Storey：優先事項と現状のギャップを明らかにするところから評価を始めたオーナーは、それに基づいて計画を立て、それが最も効果的かつ情報に基づいた開始地点であると気づきました。最新の技術を用いてOpteon™（オプテオン™）冷媒を活用するのが最近の傾向です。それによって、リンクの排出量削減の実績ができます。業界がゼロエネルギーリンク（通称ネットゼロリンク）に向かう中で、オーナー陣や利害関係者グループは一貫して、全体的かつバランスの取れたアプローチを選択するようになっています。利用できる資本の単位あたりのプラス効果が最大になるためです。